東京との出会い

僕が東京の存在を認識し始めたのは、1999年の事。その年からJリーグは1部と2部に分かれる事になり、2部のJ2に東京ガスのサッカー部が「FC東京」として参入し、首都初のJリーグクラブとして注目されていたから。そういう事を新聞などで読んだ。サッカーの試合を観に行ったことなどないのに、東京のチームという事で気にはするようになった。
だから新聞に「東京自力昇格消滅」の記事が出た時にはえらくがっかりした。でも次の週に新聞を観たら「東京奇跡の逆転昇格」と載っていて、興奮したのを覚えている。「機会があれば観にいってみよう」とそのとき思った。

2000年、Jリーグ開幕。
僕はテレビで東京の初陣、マリノス戦を観た。
今でも忘れない。
「大変なことが起こりました!!」
0−0で迎えた試合も終盤のころ、東京がPKを獲得した時のアナウンサーの実況だ。
PKをツゥットが決め。1−0。
それから試合が終わるまで、マリノスは怒涛の攻めを見せた。東京は守るというよりは「耐えている」の表現がふさわしいような、そんな10分間。
試合終了の笛がなった瞬間、ものすごく感動したのを覚えている。明らかに格上のマリノスに勝った。この試合を観て生観戦に対する気持ちがいっそう強くなる。

そのころ、父親の仕事の関係でよく家に東京ガスの長谷川さんという人が来ていた。顔見知りでもあったので、「FC東京の試合のチケットが欲しい」と頼んだら、持って来てくれた。普通招待券なら金額は書いていないと思うのだが、そのチケットには書いてあったからもしかしたら自腹を切って買ってきてくれたのかもしれない。それが初観戦となる、2000年5月20日国立競技場でのヴィッセル神戸戦だ。

その日は朝から雨だった。一緒に行こうと約束していた友人は雨だから行くのを渋ったが、無理やり連れて行った。「雨だから今日はやめよう」とは、これっぽっちも考えなかった。

国立につく頃は雨がひどくて、傘だけでは雨がしのげずにレインコートまで買ってしまった。当時観た席はバックスタンド。まだ東京の席割ではゴール裏がGブロックではなく、コーナーフラッグ付近がGブロックだったと記憶している。天候のせいもあり、ガランとしていた国立。観客は7000人ちょっとだったと思う。今ではまず考えられない観客数だ。テレビで観た華々しいイメージとはかけ離れていた。しかも試合は1−2で負けた。普通だったらもう観に行かなくてもおかしくないのだが、この観戦を機に、東京の試合を観る回数が増えて行くことになる。雨の中で声を張り上げて応援し続けるサポーター。ひたむきにプレーを続ける東京の選手達。時間稼ぎに転んだらなかなか起き上がらない神戸の選手。最後は神戸の選手に向かってなんか叫んでた。雨の中、東京のサポーター(見習い)になったのだ。

初観戦からもうすぐ5年。東京は生活の最重要項目になった(笑)。
自分でもここまではまるとは思わなかった。今は一緒に観に来ている彼女も2002年のホーム最終戦、レッズ相手に延長後半終了間際、福田のVゴールで勝利した試合以来、東京のサポーターだ。スタジアムの中や掲示板などで、東京サポの友達も出来た。いまではこんなコラムまがいの事をネットに公開している。

人って変われば変わるもんよ。

P.S 初観戦した時に一緒に観に行った友人のMは神戸の選手が時間稼ぎをしていた事だけはよくおぼえているらしい。